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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(あ)894号 判決 1951年5月15日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人大坂久之助の上告趣意は末尾添附の書面記載のとおりであって、これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。

然し、所論の臨時物資需給調整法附則二項(昭和二三年三月三一日法律一六号、同二四年三月三一日法律二一号による改正後のもの)及び昭和二四年七月一五日農林省令第六八号(加工水産物配給規則一部改正)、同二五年三月二七日同省令第二七号(同規則廃止)各附則二項は同法律及び同規則改正廃止前に行われた違反行為に対しては、その改正廃止後も改正廃止前に行われた違反行為の罰則に関する範囲においてはこれを改正廃止しない趣旨であって、一旦廃止して更らに改めて罰則を設けるという趣旨ではない。(昭和二五年(れ)第一〇四六号同二六年二月二七日第三小法廷判決参照)然るに、所論憲法三九条違反の主張は右各附則が新に罰則を設けそれが過去の行為に遡及適用されるという解釈を前提とするものであるが、その前提が採用できないこと前説示のとおりであるからこの点の論旨は理由がない。その余の論旨は当裁判所において免訴の判決を求むというのであって適法な上告理由とならない。

なお本件について刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よって刑訴四〇八条を適用し全裁判官一致の意見により主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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